01Short Story特典SS
【特典SS】スキル紹介コーナー
「巴と」
「ナルの?」
「「スキル紹介コーナー!」」
「って、なんだこれ?」
「そのままの意味だそうです。翠川さんがスキル名称を告げて、私がスキルの解説をしていきますので、翠川さんはそれに対する感想を返してください。では早速参りましょう」
そう言うと護国さんはモニターに先日行われたとある決闘の光景を映す。
どうやら、この決闘で使われたスキルについて紹介をしていくようだ。
◆
「えーと、では。スキルその一、『フルバースト』」
「魔力を砲弾の形に物質化させた上で射出。着弾点に速度と硬さによる破壊をもたらした後に、砲弾を爆発に変換する事によって更なる破壊をもたらします。消費が重いスキルではありますが、その威力は折り紙付きと言えるでしょう」
「感想……感想な……。似たようなものは一度喰らったけど、こっちの方が威力は高そうだな。とっておきの一撃として有用そうだ」
「似たようなもの?」
「まあ、置いておいてくれ」
◆
「それよりも、スキルその二、『ロングエッジ』」
「対象となった武装の一部を特定方向に一瞬だけ伸長させるスキルとなります。注意事項としては、伸ばせば伸ばしただけ、伸ばした部分の密度が下がりますので、その分だけ特定範囲の強度や重さといったものも損なわれていきます」
「攻撃のリーチが突然伸びるのは強いけれど、反応されてしっかりと防御されると、デメリットが出てきてしまうって感じか。ところで伸ばす部分や方向、距離は決まってないのか?」
「事前に決めた通りにしか伸びません。なので、使う前に調整しておく必要があります」
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「スキルその三、『リターンウェポン』」
「対象として事前に設定した武器を、同じく事前に設定した手や鞘と言った場所に向かって射出します。通常は決闘中に落とした武器を手元に戻す用途で用いられます。なお、一度戻りはじめたら、運動エネルギーの増加はないので、途中に障害物があると止まってしまいますし、戻っている途中に戻す場所が移動しても追いかけて来ません」
「なんでもブーメランに出来るスキルってことか」
「ちなみに実在する武器としてのブーメランは投げた人の手元にまで戻ってこないそうです。投擲武器が自分に当たる危険性を考えたら、当然なのかもしれませんが」
「そうなの!?」
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「スキルその四、『ハーディング』
「対象を硬くするだけのスキルですね。物を硬くすることにはメリットとデメリットが存在していて、メリットとしては物質の結合を破壊するような行為……つまりは斬るや突くと言った動きには強くなります。しかし、デメリットとして柔らかさによって衝撃を殺すような振る舞いは難しくなります」
「衝撃殺し殺しってことか」
「ちなみにこのスキル、普通のなら自分が触れているものにしかかけられないはずなのですが……今回用いられたのは、特別な改造が施された『ハーディング』のようですね」
「特別な改造って、そういうのもあるんだな」
「出来る方は少ないですが、あります」
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「スキルその五、『キーンエッジ』」
「対象となった武装の一部を一時的に圧縮し、鋭さを増すスキルです。基本的には攻撃力を伸ばすために刃物の刃を対象として用いられるスキルですね。ちなみにスキルの範囲内は圧縮された分だけ密度が増し、密度が増しただけ単位面積当たりの強度や重量も増しています」
「実は『ハーディング』のそっくりさんだったりする?」
「系統としては比較的近いものではあるようです」
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「スキルその六、『パリングシールド』」
「対象とした武装に魔力の膜を展開。この膜は接触した物体及び魔力を含むものを弾き飛ばす性質を有しています。効果時間は短く、消費する魔力の量も多めではありますが、おおよその攻撃を弾くことが出来ますので、ここ一番での防御に用いる方が居るようです。注意事項として、持ち手に伝わる衝撃を殺すわけではないということですね。受け方次第では、攻撃をした側も受けた側も吹っ飛ばされます」
「使いこなすには魔力量も技術も必要なスキルか。使えるなら使ってみたくなるな」
◆
「以上がこの決闘で用いられた六種類のスキルでした。どれも強力なスキルですので、状況を見極めて、適切に使っていきたいところですね」
「だな」
護国さんがそう言うと、モニターの電源が落とされる。
俺が使うことが出来るかは、今はまだ分からないが、相手が使ってくることはあり得るのだから、きっと今後もこういう勉強は必要なんだろうな。
出来る限り楽しみながら、これからも学んでいくとしよう。